海外のファッション雑誌で働く、というのは私の夢だった。小学3年生からずっとファッション雑誌が好きだった。不器用ながらに追いかけ回した夢。高校卒業時にカナダへ行って英語を習得させてもらった。二十歳でファッション誌の聖地、NYの雑誌でインターンを経験した。殴り込みで受かったようなものだった。路上のデザイナーに声をかけて記事を書かせてもらって、それを日本に持ち帰って高卒の私がまさかの出版社でアシスタントをやらせてもらった。すべてが順調にいっているかのようにみえた矢先…。家族が病気になった。介護のため仕事をやめた。25歳だった。実家の岩手に戻った。
あれからもう、7年。いろいろあった。オランダに来る前もいろいろあった。来てからもそれはもう、いろいろあった。だけどそれはまた別の機会に話すことにする。とりあえず、色々失敗して、色々悩んで、色々うじうじして、私はまた夢を追いかけることにした。
”好きなことで飯を食う”。それはやっぱりどうしても、一生をかけて追い求める価値のあるくらい超素敵なことだと思う。32歳。今更かもしれない。だけどまだまだ諦めたくない。
好きなことがまず、あるということ。それがどれだけ素敵なことか。私はそれを忘れたくない。親にもらった大事な命。無駄に使いたくない。この世に生まれた世界を最大限に謳歌して、楽しんで、そして思い切り暴れまくる。やりたいことは全部やる。もらった恩は全部返す。真剣に頑張り、心から笑い、魂をゆさぶる人生を送り続ける、死ぬまで。
私はやっと、嘘つくことなく、自分が本当にやりたかった唯一のことをもう一度、追いかける勇気を持つ決意ができた。
読んでくださってありがとうございます。これからも頑張るので、応援してくださったら嬉しいです。
阿部万里英